Voice of a graduate奨学生の声

— 後輩へのメッセージ —

女性

医学部医学科
3年

「支えていただいた感謝を胸に」

現在、私は医学部医学科3年に在籍しておりますが、医学教材は大変値段が高く(教科書1冊1万円、人体解剖実習で使うメスのセット1万3000円など)、当奨学金をいただいていなければ、我が家では経済的に厳しく準備ができないと思うことが何度もありました。

平日週5日朝9時から夕方6時まで大学で学び、毎週レポートや小テストがある中で3ヶ月に及ぶ人体解剖実習を行っており、アルバイトができる状況ではなかったため、奨学金が心の支えとなりました。大変感謝しております。

大学卒業後は、山梨の医療過疎地域の方々の健康や暮らしを守るため、地域住民を丸ごと診ることができる幅広い診療知識を持った総合診療医になりたいと考えています。

病気や怪我を治すだけでなく、患者さん一人ひとりに寄り添い、患者さんの生活やご家族を支えられる医師になり、山梨の医師不足の地域で勤務したいと考えています。

「大学進学のきっかけ」

私は現在大学3年生で、1年生の時から赤尾育英奨学金を支援していただきました。片親で経済的に大学への進学は厳しいと考えていた高校時代に給付の奨学金を調べて応募しました。

母と何度も話し合いを重ね、その結果、大学の学費を自分で払い、生活費は母に支払ってもらうと決め大学進学をしました。

学業とアルバイトの両立の中で、アルバイトのお給料のみでは学費を支払うことは厳しいため、複数の奨学金を利用して通学しています。奨学金がなければ進学を諦めていたため、本当に感謝しています。

大学に入ることで高校では学ぶことがなかった専門的な学びや、キャリアにおける自己分析の学びを通して社会に出る前の経験を積んでいます。

また、学校以外の時間としては、大学生は休みが長いため、アルバイトだけでなく友人との時間を大切にしました。県外に住んでいる普段会えない友人と遊んだり、旅行に行ったりして学生の時間があるときだからこそできる思い出作りをしました。

残りの2年間を充実させて、社会に出た際に活躍できる人材になれるように日々努力します。

女性

経営学部
3年

男性

医工農学総合教育部
修士課程 工学専攻

「やらずに後悔よりやって後悔」

私はこの「奨学生の声」のメッセージを書くにあたり、自身の奨学金願書を見返してみました。そこには、私が大切にしている生き方として「やらずに後悔よりやって後悔」という言葉が書かれていました。まさに、私の大学院生活はこの言葉を体現したものだったと感じます。

この言葉は、大学で仲良くなった友人が、あるイベントに参加するか迷っていた私にかけてくれた一言でした。「できるかどうか分からない」「意味があるのかも分からない」――そんなふうに迷ったときは、とりあえずやってみる。それでうまくいかなく後悔しても、何もしなかった後悔よりはずっといい。そういう考え方です。

実際、その言葉に背中を押されて参加したイベントは、終わってみれば「本当に行ってよかった」と思える経験となり、それ以来ずっと私の中に残っています。

この考えを胸に、私はもう一つ大きな挑戦をしました。それは、能登半島地震のボランティア活動への参加です。現地の状況を自分の目で確かめたいという気持ちと、「自分が行ってもいいのかどうか」という迷い、そして研究活動がおろそかになる不安の間で葛藤しましたが、「やらずに後悔よりやって後悔」の精神で一歩を踏み出しました。

結果として、現地での体験はかけがえのないものとなり、自分が役に立てたという達成感や、現地で得た知見が研究活動に還元されたことなど、多くの学びを得ることができました。

そしてこの経験を通して、研究の面白さと意義を改めて実感し、博士課程への進学を決意しました。もし挑戦していなければ、きっと後悔していたと思いますし、今の人生選択に至っていなかったでしょう。

だからこそ、今このメッセージを読んでくれている後輩の皆さんに伝えたいのは、「迷っているならやってみな」ということです。もちろん、すべてがうまくいくわけではありません。

でも、たとえ失敗しても、それは確実にあなたの経験となり、糧になります。挑戦して「やめておけばよかったな」と思っているあなたの方が、何もせずに終わったあなたより、ずっと成長していると私は思います。

最後に――こうした挑戦にはどうしてもお金がかかるのも現実です。不安の一つに、金銭的なことがあるのは当然だと思います。私自身、この奨学金のおかげでその不安を和らげることができ、一歩を踏み出す勇気をもらいました。この場をお借りして、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

私もあと3年間、博士課程でこの考え方を胸に色々挑戦していきたいと思っているので、みんなも一緒に頑張ろう!!

「自己を高めるための知識」

国語、数学、理科、社会、英語。私たちは小学生から高校生にかけて、さまざまな科目を学んできました。その中には得意なものもあれば、苦手なものもあったかもしれません。

私自身、英語と社会、特に歴史への苦手意識を持っていました。そのため、進学や科目選択の際には、これらを避けてきました。「将来使わないだろうし、必要ないだろう。」と考えていたのです。

しかし、最近になって、私は世界史を自主的に学び始めました。理由は、知識を深めることで自分の価値を高めることができると考えたからです。

確かに、日常生活で世界史や日本史の知識を活用することは少ないかもしれません。しかし、考えてみてください。その知識を持っている人は、なんだか魅力的に感じられるのではないでしょうか。

たとえば、ナポレオンには三世もいることや、世界大戦中の各国の情勢についてなど。初めて知ることもあれば、既に知っていることがさらに深く理解できる瞬間もあります。

私は将来、誰かの役に立てるような大きな存在になりたいと考えています。そのためには、「これは必要ないから覚えなくていい」と思うのではなく、どんな知識でも活用できるような人間になりたいと考えています。

女性

工学部応用科学科
2年

男性

仏教学部
2年

「どんなことがあっても、太陽は昇る」

二年間を振り返り、奨学生になったことを後悔したことは何度もありました。

自らが語った夢や目標に対する進捗が芳しくなく、自信が無くなることが何度もありました。期待の大きさが、自らを押しつぶす、ということも往々にしてよくありました。私個人としても、夢や目標に対する自らの挫折のような思いを感じることが何度もあり、もう明日が来ないでほしいと思うこともあったかもしれません。

こんな自分で本当にいいのか。自分が語ったビジョンや夢を成すにふさわしい人間なのかと思い悩むことが何度もありました。実際、ある部分では後退せざるを得なくなったため、尚更ひどく思い悩みました。

ただ、どんなことがあれ、明日はやってきます。

そして、奨学生として選ばれている以上、どんな形であれ自らの責務を果たさなければならないのです。成功するか失敗するかは問題ではありません。自らが、その責務に対して向かう姿勢が必要なのだと思います。

もちろん、それが大変であることには変わりません。人から期待される、ということはとても重いことです。しかし、それは未来に対する期待であり、ビジョンに対する期待でもあります。奨学生は、単にその人に対する投資ではなく、その人の持つビジョンや未来に対する投資なのだと思います。

ただ、どのように気を病んだとしても、期待の重さにつぶれようとしても、太陽は昇って来るのです。前を向いて、自らのビジョンに向かって、日々邁進するしかないのだと思います。

さて、話は少し変わりますが、私は大学で結んだ縁で能登へボランティア活動に参加させていただきました。

ボランティアと一言で言いましても内容は様々で、今回はイベントの運営のお手伝いをさせていただきました。私は喫茶コーナーで軽食を振舞いました。

能登でのボランティア活動

そのボランティアに参加しての感想ですが、やはりどんな人にも明日は来るでしょう。楽しいことも、辛いことも生きている上で遭遇します。そのイベントで、少しでも被災者の方々に一時、安心できる時間を提供できていればと思う次第です。

どんなことがあっても、太陽は昇る。そのことをよく考えた、二年間だと思います。

「挑戦すること」

私は大学一年の時に、図書館で行われたクリスマス会で子どもたちに英語での紙芝居の読み聞かせをさせてもらいました。私は人前に立つことがあまり得意ではなく、読み聞かせのお話をいただいた時も参加をするか迷っていました。

しかし、参加をしたことで普段あまり触れ合う機会のない地域の子どもたちと直接交流することができ、楽しそうに物語を聞いたり、リアクションをとってくれたりする姿を見ることができたため、とても貴重な体験になりました。

この会での読み聞かせの目的は、子どもたちと一緒にいくつかの単語を発音し、最終的に単語を覚えてもらうことでした。そのため、準備の際は子どもたちが英語での物語を理解しやすいように人形を使ったり、身振り手振りを大きくしたりと、読み方を工夫することに苦労しました。

そうして行われた本番ではとても緊張しましたが、問いかけに対し子どもたちが大きな声で反応してくれたり、英語を読む前にその英語を発音してくれたりするなどして一方的に教えるのではなく、ともに楽しく英語を学ぶことができ、とても良い時間になりました。

私が皆さんにお伝えしたいことは、挑戦してみたいと思うことがあったら是非挑戦してみてほしいということです。大学生活は長いようであっという間です。踏み出す前は躊躇してしまうこともあると思いますが、踏み出したことで良かったと思えることがたくさんあるはずです。

たくさん挑戦して失敗もしながら成長し、楽しい学生生活を送ってください。

最後に、今私が学びたいことを学ぶことができ、大学での貴重な体験をすることができたのは赤尾育英奨学会のご支援のおかげです。心より感謝申し上げます。

女性

人間文化学部
3年

女性

看護学部
4年

「夢に向かう強い志があれば…」

私は、高校時代、大学への進学を諦めていました。何故なら、家庭が裕福ではなかったうえに新型コロナウイルスの影響を受けてさらに両親の収入が減少してしまったためです。

そのような状況下で、「大学へ行きたい」となかなか言い出せずにいました。そして、将来への不安が募った結果、摂食障害となり、体調を崩してしまいました。大学受験の大切な時期に体調を崩したことで、尚更「大学に行く夢は諦めるしかない」と思いました。

しかし、入院を経験した際に出会った看護師の方に心を救われ、私も彼女のように辛い心境にいる人に寄り添える看護師になろうと決心しました。それをきっかけに思い切って大学へ行き、看護学を学びたいこと、精神科専門看護師を目指したいことを両親へ告げました。

その結果、両親は私の夢を応援してくれ、無事に大学へ入学することができました。夢に向かって努力できることが嬉しかった半面、金銭面の不安も大きくありました。父も母もそれぞれ身体が弱いうえに親の介護をしながら働いており、また、私には兄弟もいたことから家族に迷惑をかけたくはありませんでした。

そのような中で、大学から貴財団の奨学金について説明を受けました。このような制度があることに喜びを感じ、応募しましたが、私はこれまでの学生生活において大きな結果や成績を残してきてはおらず、正直選ばれないだろうと思っていました。

しかし、貴財団はそんな私のこともしっかり見てくださり、私自身が持つ将来への思いを聞いてくださりました。そして、その気持ちを受け取り、奨学生に選んでくださりました。

貴財団からのご支援があったからこそ、これまでの4年間の学生生活で、学ぶことにも楽しむことにも全力集中できたと考えています。社会人になり、これから県内で看護師として働くうえでも、お金の問題に大きく縛られずに働けることにも、本当に感謝しています。

このご恩をお返しするために、一人前の看護師になり、一医療者として患者様の健康を維持・増進させていくことで山梨県に貢献していきます。本当にありがとうございました。

「大学生活で得た学び」

私は現在、看護学生として勉学に励んでいます。学生生活では病棟へ実習に行ったり、老人ホームへ見学に行かせていただいたりと、対象者と関わらせていただいた場面も多くありました。

対象者と関わる中で、人と人との関わりの温かさや大切さを改めて感じることができました。実習では記録や事前課題など多くのタスクをこなすことが大変なこともあります。

しかし、そこで得た知識や考え方が対象者に届き、笑顔を見られたときの喜びを知ることもできました。2年の履修過程を経て看護師の必要性や魅力を改めて感じることができ、自分なりの看護観を深めることができました。

このように勉学に励み、楽しむことができているのは貴財団のご支援があったからです。ご支援がなければバイトや課題に追われ、課題が考えるものではなく、提出を目的としたものになってしまっていたと思います。

自らで考えを深めることができたからこそ、対象者さんと関わったときの喜びを実感できたのだと思います。本当に感謝しております。これからも教養を高める努力をしてまいります。

女性

看護学部看護学科
3年