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— 拝啓、せんぱい【学生編】 —

拝啓、せんぱい【学生編】 #1 現役奨学生インタビュー

赤尾育英奨学会の現役奨学生3名にお集まりいただき、大学生活や将来の夢について語っていただきました。(内容は2022年6月のインタビュー当時のものです)

  • <令和3年度 奨学生>
  • 金川紘大さん (山梨英和大学 人間文化学部 人間文化学科2年)
  • 蔵満公美子さん(山梨英和大学 人間文化学部 人間文化学科2年)
  • 槌屋華音さん (健康科学大学 看護学部 看護学科2年)

―本日は、赤尾育英奨学会の現役奨学生3名にお集まりいただきました。皆さん、大学2年生ですね。
   まずは、大学に進学した理由を教えていただけますか?

金川紘大さん

金川さん:私は将来、県庁職員になって、山梨の魅力を伝えていきたいという夢があります。中学生の時に甲府市の派遣団として、姉妹都市のアメリカ・アイオワ州デモイン市の研修旅行に参加する機会があり、そこで現地の人に山梨の良いところを伝えると、ほとんどの人が知らなかったため、世界に発信できていないことを実感しました。高校3年生の時には、“山梨と海外の繋がり”について研究活動を行い、山梨の観光業が年々衰退していることを知り、山梨県民の一人として何ができるのか考えるようになりました。山梨の魅力を世界にアピールするには、自国だけでなく他国の文化を理解することも大切と考え、海外の地域・文化が学べる山梨英和大学へ進学しました。

蔵満さん:私は、誰かの役に立ちたい、困難を抱える方々のサポートがしたいという想いが強く、公認心理師になりたいと考えています。経済的に県外の大学に通うことは難しかったので、県内で探していたところ、山梨英和大学は県内で唯一、公認心理師と臨床心理士の2つの心理カウンセラーの資格取得が目指せる大学院が設置されていることを知りました。プロの心理カウンセラーになるために、大学卒業後は大学院に進学する予定です。

槌屋さん:私は病気で入院したことがきっかけで、看護師になりたいと思うようになりました。私も蔵満さんと同じく県外に出られるほどの経済的な余裕はなかったので、家から近くて、面倒見が良いと評判の4年生大学である、健康科学大学を選びました。専門学校という選択肢もありましたが、一般教養等のより広範な知識を身につけてから社会に出たかったため、大学にしました。実際に、一般教養としてパソコンの使い方を詳しく学ぶことができ、電子カルテの入力などに役立っています。

―皆さん、志が高く、素晴らしい夢をお持ちですね。
   それぞれの夢に向かって、大学ではどのようなことを学んでいますか?

金川さん:1年生の時に英語・韓国語・フランス語の3カ国語を集中的に学びました。世界中に山梨の魅力を伝える人材を目指している私にとって、英語以外の言語を学べたことは大きな成長でした。また語学だけでなく、その国の文化や習慣についても深く学ぶことができました。2年生になって、いま一番面白い授業は、「山梨学」です。様々な分野の講師の方を呼んで、山梨県の観光資源と魅力について学んでいますが、自分の知らない山梨の魅力を発見することができ、ワクワクしながら授業を受けています。

蔵満公美子さん

蔵満さん:私は、専門的なことを深く学ぶ前に様々な領域に触れて視野を広げようと、1年生の時にICTや外国語、文化比較や心理学の基礎を学びました。心理学の基礎を学んで、心理学には多くの専門領域があることを知りました。2年生になってからは、公認心理師の高い専門性と結びつく授業が多くなりました。児童虐待の問題などを学ぶ「福祉心理学」はあまり興味がなかったのですが、少しでも子どもたちの負担を減らしてあげたいという気持ちになり、将来は児童相談所に就いて仕事がしたいと思うようになりました。また、国家資格である公認?理師の受験資格を得るために「公認心理師課程プログラム」も取り、毎日心理学のことで頭がいっぱいです。

槌屋さん:私の大学では、県内の病院で実際に働いている医者や看護師などが講義をしてくれるので、とても分かりやすいです。将来は精神科分野で働きたいと思い、精神科看護の歴史的変遷を学ぶ「精神看護学概論」を受けています。海外に比べて日本の精神医療は、心へのアプローチで社会復帰させるよりも、病院内に閉じ込めて対症療法をすることが多く、現状を変えるために看護師としてできることを考えていきたいです。そのため、大学では看護学全般の知識を学んでいこうと思っています。

蔵満さん:槌屋さんの話を聞いて思ったのですが、高校までは教科書を丸暗記すればテストで良い点が取れましたが、大学は「暗記」ではなく「考え方」が大事で、じっくり考えるようになりました。それまで物事を深く考えたことがなかったのですが、きちんと理解して身に付けないと次に進めませんね。

槌屋さん:たしかにそうですね。そのおかげで、大学の授業で学んだことが看護師になるための知識だけでなく、普段の生活の中でも役に立っています。ストレスを感じた時はこうする、といったように。

―どの分野においても、自分の中できちんと理解することが大切ですね。
   さて、入学当時はコロナ禍で戸惑いもあったかと思いますが、現在の大学生活はいかがですか?
   大学に進学してよかったなと思うことはありますか?

蔵満さん:1年生の時はリモートで人と話す機会がほとんどありませんでしたが、2年生になってから対面授業になり、分からないことを聞き合ったり、意見交換をして新しいことを学んだり、学食で一緒にお昼を食べたりして、大学生活を楽しんでいます。クラス全員で協力しないと解けない難しい課題を出された授業では、深夜まで連絡を取り合い、課題を通して仲良くなりました。

金川さん:私も1年生の時は、授業はほぼオンラインでした。2年生になってからは授業が対面となり、同級生や先輩・後輩など様々な人と関わる機会が増え、すごく充実しています。私がとっている授業では、山梨県に貢献したい、観光業に携わりたいと思っている学生が多く、同じ夢を目指す仲間を見つけて、意識を高め合っています。

槌屋華音さん

槌屋さん:私もお二人と同じように、看護師を目指す仲間に出逢え、勉強が辛い中でもお互いに励まし合っています。目指しているものが同じ看護師だからか、私の病気について話をしても偏見を持たずに自然に接してくれ、反対に、悩みを気軽に相談してくれることがとても嬉しいです。今まで、「弱い部分は隠す」という価値観で生きてきましたが、全ての人が弱い所を持っているのだと知ることができました。

―大学時代の仲間は、一生の宝物ですね。
   平日は授業や課題で忙しい皆さんですが、休みの日は何をしていますか?

槌屋さん:土日もほぼ課題に追われていますが、余裕があれば、コンビニでバイトをしています。コンビニに来るお客さんは社会を凝縮した感じで、世の中には様々な人がいることを学んでいます。趣味のダンスやカラオケは時間がある時に行ったり、恋愛も楽しんでいます。

金川さん:私も休みの日はバイトや課題ですね。あとは、高校生の時から続けている、山梨県の観光に関する研究活動も行っています。現状や課題を把握するために甲府市役所に行って、観光客の旅行消費額や滞在日数といったデータを取り寄せたりしています。

蔵満さん:私も皆さんと同じでバイトや課題をしていますが、バイトがない日は、ボランティア活動もしています。今年の夏休みは、保育園でお手伝いをする予定です。先生たちが夏休みをとっている間に子どもたちの面倒を見るボランティアです。

―大学生は、平日も休日も忙しいですね。ここからは将来の夢についてお聞きしたいと思います。
   もし、なりたい職業に就けたら、どんなことをしていきたいですか?

金川さん:私は、海外に山梨県の魅力を伝えていくために県庁職員を目指していますが、山梨県と言えば、富士山を思い浮かべる人が多く、富士山以外あまり知られていないことが残念に思っています。ワインや美しい景観など、山梨県特有の魅力をもっと伝えていきたいです。

蔵満さん:公認心理師は、病院やクリニック、学校のカウンセラーなど様々なところで活躍しています。その中でも、私がいま就職先として考えているのが児童相談所です。「福祉心理学」を学んでいくうちに、少しでも子どもたちの相談に乗って、虐待の問題を減らしていきたいと思うようになったからです。もっと勉強をして、相談しやすい環境を作っていきたいです。

槌屋さん:私は精神科専門看護師となって、患者に心理的負担の少ない看護を提供したいと考えています。患者にとって受けるのが怖いケアではなく、積極的に受けたいと思ってもらえるケアを行えるように、症状へのアプローチではなく、心理面へのアプローチを行っていきたいです。臨床心理士とは違い、看護の視点から行えるもので、認知行動療法などまだハッキリと決まっていませんが、これから探していこうと思っています。

―将来の夢に向かって、勉強にも力が入りますね。
   それでは最後に、奨学金制度を検討している高校生へメッセージをお願いします!

蔵満公美子さん

蔵満さん:両親から「将来の職業のことを考えて進学するべき」と言われ、奨学金を活用することにより、大学に進学することができました。奨学金のおかげで、勉強の他にボランティアやサークル活動にも力を入れて取り組むことができ、特にボランティア活動では、社会と関わることで様々な視点で物事を見ることができました。大学進学は、親にとっても子どもにとっても大きな決断です。金銭面で困っていることがあれば、自分が受けられる奨学金制度を調べて、ぜひチャレンジしてみてください。

金川紘大さん

金川さん:経済的に負担の多い大学進学に関しては気を遣っていました。奨学金をいただけることになり、金銭面の負担が減り、また学業に専念できるのも良かったです。お金や家庭の事情で大学進路を躊躇している方は、色々な制度を利用することで負担が減らせるので、まずは挑戦してみるとよいと思います。

槌屋華音さん

槌屋さん:私も経済的な面で進学に対する負担を気にしていましたが、自分で学費をどうにかすると決め、親の反対を押し切って大学へ行きました。赤尾育英奨学会から奨学金をいただけることになり、本当に救われました。自分がやりたい夢を追いかけられる環境を作っていただき、感謝しています。実は、奨学生に選んでもらえるとは思っていませんでした。しかし、自己推薦書や面接で、将来の夢について一生懸命説明できたことが、奨学金給付への結果に繋がったと考えています。実績や自信の有無に拘らず、夢や希望をしっかり持ってチャレンジしてみるべきだと思います。

―本日は皆さん、貴重なお話をありがとうございました。
   これからも夢に向かって頑張ってください。皆さんの夢を応援しています!

YSK