Voice of a graduate奨学生の声

— 拝啓、せんぱい —

拝啓、せんぱい#9 蔵満公美子さん 社会福祉法人泉会世田谷区立岡本福祉作業ホーム勤務

大学で心理学を学び、現在は、社会福祉法人泉会の世田谷区立岡本福祉作業ホームで生活支援員として働く蔵満公美子さんにお話を伺いました(内容は、2026年3月のインタビュー当時のものです)。

心理学に熱心に取り組んだ大学時代

−大学で特に面白かった授業や大変だった授業はありますか?

蔵満公美子さん

私が通っていた山梨英和大学は県内で唯一、公認心理師と臨床心理士の資格を目指せる大学院が設置されていて、心理学にとても力を入れています。特に面白かったのは「心理演習」で、実際に現場へ行って利用者の方とお話しして、授業で習ったことを実践することができました。

大変だったのは「心理学統計法」や「データ分析」の授業です。心理学には必須のスキルなのですが、数学や計算がもともと苦手だったのに加えて、ExcelやRという統計分析ソフトを使いこなさないといけないので苦労しました。

−卒論は「推し活と精神的健康」というテーマで研究をされたそうですね。

私は舞台とかミュージカル、アニメなどが好きで推し活をしています。それで推し活と心理学を結びつけて考えてみようと思いました。「精神的健康」の定義を決めるところから始めて、150人からアンケートを取ってまとめた結果、意外なことに、推し活をしている人の方が精神的に不健康ということがわかったのです。

大学の卒論発表

推し活をするのにも様々な理由がありますが、例えば、精神的に疲れている時に元気をもらったというような、気持ちに波があることがわかりました。推し活をしたいけれどお金がないとか、チケットが当たらないとか、そのような時は気持ちが落ち込んでしまいます。

推し活をしていない人は基本的に安定していて、そのような波がないのです。思いがけない結果が出て、私も驚きました。

悩みながら進路変更、
結果的に自分が望むカタチに

−心理学に打ち込む中、進路を変更したそうですね。

卒業後は大学院に進んで公認心理師を目指そうと思っていたのですが、大学生活を送るうちに自分の置かれている環境や状況が変化していきました。

今の私ができることは何かと考えたところ、自分の今までの経験が活かせる福祉系に進路を変更することにしました。家族の介護をきっかけに福祉の仕事に興味を持ち、誰かを支えたいという思いがあったので、結果的に自分が望むカタチになったと思います。

−今の職場を選んだ決め手は何ですか?

世田谷区立岡本福祉作業ホームは、主に身体障がい者の方が通う通所施設です。基本的に利用者の方は毎日施設に通い、午前は絵画や陶芸、手工芸、パソコンなどの作業をします。午後はリラクゼーションといって、ゆっくり過ごします。

利用者の方が帰った後は、事務作業や担当の仕事をします。年に数回、日帰り旅行もあって、昨年は横浜の中華街へ行きました。今の職場を選んだ決め手は、職場の環境や雰囲気、スタッフの人たちの人柄がとても良かったからです。

世田谷区立岡本福祉作業ホーム

利用者の方の状態によって介助方法が違うので、最初は覚えることが多くて大変でしたが、わからないことは先輩のスタッフにすぐに聞ける環境だったので、あっという間に慣れました。

大学で学んだことが
福祉の仕事で役に立ち、
やりがいを実感

−大学で学んだことが役に立っていると実感することもありますか?

蔵満公美子さん

利用者の方たちは、穏やかで、人とお話しするのが好きな方が多いです。「寄り添う」ということを心がけていて、心理学で学んだ「傾聴する」こともあります。まずは「そうだったんだ、大変だったんだね」と利用者の方の気持ちに寄り添うことがとても大事だと感じています。

大学で身についた「論理的思考」も役に立っています。客観的に考える能力が身についたと実感しています。大学の授業のほとんどが、自分の考えだけでなく、「これもあれもあるよね、そこからこんなことも考えられるよね」と枝のように広がっていく考えを重視しています。

−仕事のやりがいや、印象に残っていることはありますか?

蔵満公美子さん

利用者の方が私の名前を呼んでくれたり、「蔵満さんと話していると面白い!」と思っていることを素直に言葉に出して褒めてくれた時はすごく嬉しかったです。

あとは、半年ぐらい前の日帰り旅行のことも、「こういうことがあったよね」とか「蔵満さんと一緒に行けて楽しかったよ」「ありがとう」と言ってくれたり。日帰り旅行は利用者の方だけでなく、実は職員も楽しみにしているんです!

−今後の目標があれば教えてください。

職場の上の人にも下の人にも頼られるような存在になりたいです。何かを集中的にしっかり学ぶには大学が良いとわかっているので、将来は、福祉系の大学に通って社会福祉士の資格を取得することも考えています。もちろん実務経験も必要なので、今の職場でじっくり長く働きたいと思っています。

蔵満公美子さん

給付型の奨学金で
精神的な余裕ができ、
やりたいことに迷わずチャレンジ!

−赤尾育英奨学会の給付を受けて良かったことを教えてください。

精神的な余裕ができたことです。私立の大学で学費も高かったので、私だけでなく親もとても助かったと思います。また、貸与型ではなく給付型のため、卒業後に新生活を始める際も、余裕を持って準備することができました。そういう心の余裕があるだけでもだいぶ違うと思います。

−最後に、奨学金制度を検討している学生へメッセージをお願いします。

奨学金の給付を機に、やりたいことに迷わずチャレンジしてほしいですね。「でもお金が…」という心配もあると思いますが、なるべく気にせずに、やりたいと思ったらすぐ動くということを徹底してほしいです。学生のうちにしかできないことはたくさんあります。ぜひチャレンジしてみてください!

世田谷区立岡本福祉作業ホーム